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16.身体の違和感は自律神経の不調かも?

KAZUHIKO YAMADA

暑い時には汗をかく、寒い時に鳥肌が立つ、まぶしい時に目を閉じる、熱いものに触れた時瞬時に手を放すなど。 これらすべて体内のコンディションを一定に保とうとするのが自律神経の働きです。走ったときに心臓が速く動くのも、食べたものを腸が押し進めるのも、瞳孔をどれだけ広げるかのコントロールも、すべて自律神経が血管の動きをコントロールすることで担っているのです

自律神経は私たちの意思とは関係なく、呼吸や体温、血圧、心拍、消化、代謝、排尿・排便など、生きていく上で欠かせない生命活動を維持するために24時間365日、休むことなく働き続けています。

 

自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経と副交感神経の働きは、1日の中でリズムがあり、時間帯によって変化しているのも特徴です。仕事や学校などで活動する日中は交感神経が優位になり、休息や睡眠に向かう夜は副交感神経が優位になります。

昼間はしっかりと動いて、夜になると自然と眠くなり、そして翌朝はまた活動に向けて体が動き出す……。こういった健康的な毎日を支えているのが、自律神経の規則正しいリズムなのです。夜更かしをしたり、朝寝坊をしたり、食事の時間がバラバラだったり、ストレスが多かったりすると、自律神経のバランスが乱れます。仕事に追われて常にストレスを抱えていると交感神経が過度に働き、緊張が続きイライラしやすくなります。同時に副交感神経の働きも抑えられるため、睡眠の質が低下したり、胃腸の働きが悪くなります。

 

交感神経の働きが大きくなり過ぎる(優位になる)と、血管が収縮して血流が低下します。交感神経が過度に働くような毎日を送っていると血流の悪い状態が続き、肩こりや頭痛、手足の冷え、肌あれなど、いろいろな不調を招くことになるのです。

また加齢によっても自律神経の力も落ちます。男性は30代、女性は40代に入った頃から、徐々に自律神経のバランスが乱れやすくなることが分かっています。バランスの乱れは交感神経のはたらきではなく、副交感神経のはたらきが年齢と共に低下するからだと考えられています。高齢者が怒りっぽくなってしまうのも、年齢を重ねていくほどに副交感神経のはたらきが低下し、感情のコントロールが難しくなってしまうからなのでしょう。

 

自律神経の活動は感情によっても左右されます。自律神経を司る視床下部と情動を司る偏桃体は近接していることが要因として挙げられます。ちなみに、匂いを知覚する時は視床下部、偏桃体と海馬なども関連するため、柑橘系の香りは交感神経と副交感神経の働きをともに活性化させ、血流を増加させる効果があるといわれています。

 

自律神経の不調による症状は、めまい ふらつき 立ちくらみ 失神 頭痛 胸の痛み 首の後~肩の痛み 肩こり 疲労感 脱力感 眠気 便秘 下痢 頻尿 残尿感 皮膚の乾燥 多汗 汗かけない 目の違和感 など多岐にわたります。

 

自律神経の乱れは、気温 湿度 気圧 日照など私たちが生存していく上で重要な環境の変化によっても大きな影響を受けることになります。

 

自律神経は、呼吸 血液 内臓が良好に、一定のコンディションが保たれるよう生命活動をコントロールしているのです。

私たちは、血液の流れも腸の働きも意識的にどうにかできるものではありません。しかし、呼吸であれば自分の意思によって変えることができます。呼吸を意識することによって、間接的に自律神経を良い方向へコントロールできるようになります。

よい呼吸は、ゆっくとした深い呼吸。鼻から吸うと酸素の供給がアップします。座禅の呼吸法(ゆっくり吐く)は横隔膜の張りを取ります。

理想の呼吸は、鼻から吸って、口からゆっくりと吐く。最初は吐く時間を吸う時間の二倍。慣れてきたら、三倍、四倍、五倍と徐々に吐く時間を伸ばしみましょう。

 

ウォーキングやジョギングなど定期的な有酸素運動も自律神経バランスを整える運動としてお勧めです。ただ梅雨時や夏に外での運動はリスクがあるので、フィットネスクラブやスポーツセンターなど室内で自転車エルゴメーターやランニングマシンでやってみてください。

有酸素運動は心拍数が上がり血流の改善が図れます。その結果、体力アップ、ストレス解消、生活習慣病・めまい・関節痛・認知機能などの改善、自律神経の乱れを調整することなどが期待できます。効果を出すためには目的によって運動の強さや継続する時間など多少の違いあります。まずは、息が上がらず話ができる位の運動の強さで、じんわりと汗かく程度のところまでの時間を、週2から3日の頻度で始めてみてください。

私たちの体と心は、自律神経によって常に連携しています。心のコンディションを整えたいときは、自分の意思で立て直そうと努力するよりも 呼吸を意識したり適切に体を動かすほうがずっと近道です。

 



参考文献

自律神経の科学 鈴木郁子2023年講談社ブルーバックス

気がついたら自律神経が整う「期待しない」健康法 小林弘幸 2022年 祥伝社新書

すべての不調は呼吸が原因 本間生夫 2018年 幻冬舎新書

 
 
 

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©2022 by 健康運動指導士 山田和彦。Wix.com で作成されました。

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