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11.姿勢も呼吸も筋肉

執筆者の写真: Yuumi YAMADAYuumi YAMADA

更新日:2023年6月25日

肺と心臓は生きるためには不可欠な臓器です。しかし、この二つの臓器の機能には大きな違いがあります。

心臓は心臓自体が筋肉で作られているので自動的に動くことができます。

しかし、肺はそれ自体で機能することはできず呼吸するためには複数の肺を動かす筋肉で機能しています。その役割を果たしているのが呼吸筋です。呼吸筋は体幹部に20種類以上存在し一番の主役は肋間筋(胸式呼吸)と横隔膜(腹式呼吸)です。

呼吸の目的は、空気中の酸素を体の中に取り入れること、体の中の酸性アルカリ性のバランスをとることです。

呼吸は脳のよって支配され、 脳幹には生存に必要な呼吸中枢、深呼吸など意図した呼吸は大脳皮質の運動野に、緊張や恐怖感などによって変わる呼吸は大脳辺縁系(扁桃体)の支配となります。リラックスするために深呼吸したり、映画や演奏会などで思わず息を凝らしたりすることなどはこれらは支配領域の違いからくるものです。

人間の老化は呼吸から始まると考えています。わたしたちは1分間に約15回、1日に2万回、1年に約730万回も呼吸をしています。人間は飲まず食わずでも何日かは生き延びられますが、呼吸が止まるとほんの数分で死んでしまいます。呼吸は食事よりも大切なことなのです。空気が十分に体に入ってこないと心身のすべての活動が停滞します。空気の出し入れがうまくできないと身体を動かすエネルギーが十分に生み出せなくなるため、筋肉も脳も胃も他の臓器も、更にはそれらを構成する細胞も、細胞が行う代謝も、すべての面において活動が滞って機能が低下してしまいます。そうなれば当然ながら、身体が重く、疲れやすくなり、胃腸の調子が悪くなったり、肩や腰が痛んだり、夜眠れなくなったりして、病気にも見舞われます。

また、呼吸の力が衰えると自律神経の働きも衰えるため、身体のあちらこちらに多くの不調やトラブルを抱えるようになってしまいます。不調は身体だけでなく、精神面にも及びますから、ちょっとしたことでイライラしたり、落ち込んだりして心がもろく不安定になることでしょう。 

つまり 身体の不調も心の不調も元をたどれば呼吸が始まり。呼吸器の衰えを何もせず放っているうちに、あれやこれやの問題を抱えるようになり、そのうちに心身がどんどん老い衰えていってしまうのです。

呼吸は自律神経のシステムとリンクしています。自律神経は状況の変化にスムーズに適応できるよう心身のモードを自動的に切り替えているシステム。その時その時の状況に合わせて心身のアクセルやブレーキを使い分けています。これをコントロールできるのが呼吸。呼吸をシグナルにして自律神経システムが機能しているのです。


日本の伝統文化は呼吸を探求することによって発達しました。室町、戦国、江戸、近世の時代に発達した茶道、華道、香道、剣道、柔道、空手道など「道」のつく文化はどれも呼吸や間合いを大切にしています。

禅などで引用される「調身・調息・調心」。調身・調息・調心とは、「身体」と「息」と「心」を調える。「身体」と「心」の間にある「息」を調えれば、身体と心が調う。以前、「禅」の体験した時に住職から「私たちは身体を調え息を調えることによって心が調うという仮説に基づいて禅を行っている」と聞きました。本当に心が調うかどうか分かりませんが、とりあえずやってみようという発想ですよね。


呼吸筋は姿勢筋でもあります。吸筋を鍛えることは姿勢を鍛えることにもつながります。

お坊さんのように‥ではありませんが、「まずはとりあえずやってみる」の精神で始めてみましょう。


参考:「すべての不調は呼吸が原因「呼吸を変えるだけで健康になる」本間生夫著


 
 
 

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