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4.姿勢変化と痛みの関係

執筆者の写真: Yuumi YAMADAYuumi YAMADA

更新日:2023年6月25日

ヒトの姿勢は安定化と効率化を図るため、各部分にそれぞれの役割があります。

各部分が役割を果たしているうちはよいのですが、その役割を果たせなくなると問題が生じます。例えば、一部分に何らかの問題が生じた場合、多くの場合はある程度動作をすることは可能です。機械なら一部が故障すると動作しませんが、ヒトはそうならないよ、ある部分の役割を他の部分が「代償」する機構を備えています。しかし、このような状態を長期間続けることで、代償している部位に痛みとして症状が発現することになります。

各部分の機能が役割を果たせなくなる原因は怪我、痛み、骨の変形などが一般的です。

痛い部分をかばったり、関節の変形によって本来の機能が果たせなくなると他の部分が代償。その状態で動作をスムーズに行うために私たちは無意識に姿勢を変化させているのです。姿勢の変化には、形態的変化や機能的変化、また時間的経過よって分類することができます。

形態的変化は、「曲がる」「ねじれる」「つぶれる」といった一般的によく言われる身体が「ゆがんだ」状態を指します。原因は、骨折や捻挫によるもの、加齢などによる関節の変性、脳卒中の後遺症による平衡機能の低下、視力や聴力など感覚器の変化、顎関節症など咬み合わせの変化、ストレスによる筋肉の過緊張など多くのものが挙げられます。これらが原因となって姿勢が変化するのですが、その変化は四つパターンに分けられます。第一は、「背骨が丸まり、頭が前に移動、骨盤が後傾、膝が曲がり、足首が下に向き、脚を伸ばす力が低下」。第二は、「骨盤が後傾、膝が曲がり、足首が下に向いて脚を伸ばす力が低下、胴体を支える力も低下、背骨が丸まる」。 第三は、「偏平足になり、脛が外にねじれ、内股になり、胴体が前に倒れ、腰骨が反り、肩の動きの制限が起きて、骨盤が後傾、背骨が丸まり、胴体のねじれの制限が起き、O脚になる」、第四は、「例えば、右足を痛めるとできるだけ右足を使わないように右腰で足を引き上げて、左足に余分に重さをかけ、左右のバランスをとるために頭の位置を左に変化させる」です。

機能的変化とは本来備えている固有の役割が果たせなくなること。 機能的変化は特別な場合を除き(例えば、脳梗塞の後遺症による機能不全など)ほとんどが形態的変化によるものです。例えば各部位の機能として、背骨の役割は頭部(錘)を利用し、推進力として機能します。しかし、S字弯曲の形態的変化によって(例えば、ねこ背)その機能が果たせなくなり足部(推進力)や膝関節(支持)への負担が増えることになります。また、身体の支えとなっている骨盤の形態的変化(例えば、骨盤後傾)は、体幹や頭を乗せている丁度テーブルの天板になる部位のため、土台の役割や傾けたりねじったりして動作の効率化と下肢とのバランスをとる機能が果たせなくなり、股関節、膝関節、足部にその負担をかけることになります。このように、機能的変化は形態的変化によって動作時に大きな影響を与えることとなります。

時間的経過による変化は、長い期間で変化するものと瞬時に変化するものがります。加齢や慢性的な痛みなどが原因で起こる変化は、骨格や筋肉、平衡機能の低下などによるもので、長期間にわたってじわじわと変化し、形態的変化のうち第一、二、三のパターンが代表的です。一方、捻挫や骨折など外傷性によるものや急激な痛みなどが原因で起こる変化は、瞬時に姿勢の変化を起こします。第四のパターンです。姿勢の変化は、身体の一部分の変化によってその部分だけが変化するのではなく、身体全体に影響を及ぼします。

日常の生活習慣で姿勢は容易に変化しその結果痛みが生じる原因となります。「臥位のときには、右を向きながら寝てしまう」「坐位は必ず脚を組む」「気が付いたら左脚に体重をかけて立つ癖がある」などです。このようなことを毎日、1年365日間、何十年も続けることによることで変化が生じることは皆様にも容易に想像できることでしょう。そしてその変化によって、例えば左脚に体重をかけて立ち続ければ、当然左脚に負担がかかり、左脚に体重をかけるためには、右の骨盤を挙げ右脚を引き上げます。その結果、頭部も左に移動して全体のバランスをとるように変化させ身体全体がゆがみ、この変化によって何らかの症状を引き起こす可能性が姿勢を見ることで予測できます。ちなみにこの例では、左脚(足関節、膝関節、股関節)痛、腰痛(特に右側)、肩こり、首痛(特に左側)が予測できます。

さて痛みとは、国際疼痛学会の定義によると「実際のあるいは潜在的な組織の障害を伴った不快な感覚的、情緒的経験」とあります。また、痛みが二つ以上あるときは側部抑制によって強い方の痛みを感じ、すべての痛みが同時に出ることはないと考えられています。最も痛む部分の痛みが落ち着いたところで次の痛みを訴えるということになるわけです。このように考えると、昨日までの膝の痛みが今日は腰の痛みに移ったという方の言葉もうなずけます。またこの痛みは静的姿勢の際はほとんど起こることがなく、動的時で特に動き出しに痛みが出現し、その動作を継続すると痛みが軽減あるいは消失するといった症状が多くみられます。このような、動作初動や複合的な痛みで原因も明確でなく、しかも痛かったり痛くなかったりするものは、私は姿勢によるものと考えます。

KAZUメソッドは、このような観点から、姿勢改善を図り痛みの軽減を目的にしています。

 
 
 

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