top of page

2.姿勢から見たヒトへの進化と現代

執筆者の写真: Yuumi YAMADAYuumi YAMADA

更新日:2023年6月25日

「ヒトの祖先はナメクジウオ」という説があります。ナメクジウオは脊椎動物の前段階で背骨に似た筋肉組織を持つ脊索動物の一種です。約5億2000万年以上前に、共通の祖先からナメクジウオが分岐して脊椎動物に進化。その後、魚類、両生類、ハ虫類、ホ乳類、そしてヒトへと進化を遂げたというわけです。約4億年前から陸上での四足歩行の生活を始めた祖先が、二足歩行を始めるきっかけとなったのは、1000万年前から500万年前まで続いた長期的乾燥時代によって森林が減り、樹上から草原へ降りて生活することを余儀なくされたためと考えられます。二足歩行を最初にした猿人は、1974年、エチオピアで化石が見つかった約400万年前のアファール猿人と言われています。

ヒトへの進化は、脊柱では両生類の後弯、ハ虫類やホ乳類の頚部の前弯、腰部の前弯を経て、現在のS字弯曲となり、ヒレから進化した前肢後肢は、上肢下肢へと進化を遂げて、「直立」「二足歩行」の原形がここに誕生したわけです。長い年月をかけて進化したこの変化は、胎児から幼児への発達においても見ることができます。胎児は後弯、幼児期に頚部の前弯ができ、立ち上がる頃には腰部の前弯が起こります。また、胎児の顔貌もこのような進化の過程と類似していると言われ、数億年もの名残をいまでもうかがい知ることができます。

直立二足歩行への進化は、脊柱の弯曲や上肢下肢の変化など、他のいくつかの進化に影響を及ぼしました。骨盤は内臓などを下支えするため、細長い形から大きな器型に変化しました。足のアーチ構造は、脚がまっすぐに伸びるための膝関節と地上からの衝撃を和らげるための機能的変化です。前肢が上肢に変わり、手として自由に使えるようになったことで、物をつかむことや巧みな動きができるようにもなりました。

これらの結果、骨盤の部分では周囲の筋肉の変化によってお尻が大きくなり、他の動物には類を見ない動きが可能となりました。また、手が自由に使えるようになったことで多様な道具をあみだしたことと、言語の獲得などによって脳が大きく進化したことも忘れてはいけません。脳の進化という意味では、四足歩行では前肢の上に頭を乗せてバランスをとっていましたが、直立二足歩行によって後肢の上に頭を乗せ、二足でバランスをとるように変化したことも見過ごせません。

ヒトは長い年月をかけて、「脊柱の弯曲」「上肢下肢」「バランス感覚」「自由に使える手」「言語」などを獲得し、現在の暮らしを築き上げてきました。

その後の人類史の過程で、国が起こり、文化が芽生え、暮らしや生活習慣の違いが生じ、この違いからスポーツの発祥や所作などにも影響を与えることにもなりました。

例えば欧米で発祥した乗馬やフェンシング、バレエのダンスのメソッドに上体を伸ばすことや膝を伸ばすといった概念が含まれていました。このことが現在の欧米人の立ち居振る舞いの基盤になっていると考えられます。

一方日本では、歌舞伎や能のすり足に代表されるように、多くの日本人は「膝を曲げ」「腰を落とす」歩容が見られます。この背景には和服を着たときの歩き方が基本となっているようです。しかし、明治維新によって西洋の文化を取り入れるようになり、それ以降日本人の所作に関しての考え方が大きく変わり現在の形になったわけです。

今までは私たちが見たり聞いたりしている多くの情報は欧米での成功事例でした。

ところが、このような欧米人由来のトレーニングを行っていても競技スポーツではなかなか結果を出すことができませんでした。しかし十数年前から一部のトップアスリートが、従来の欧米的トレーニングと平行して、相撲の四股や下駄などを利用する手法を取り入れ、日本人の特徴を生かした手法をトレーニンフに取り入れた結果、近年の世界大会やオリンピックの成績に結びついていると考えられます。

「KAZUメソッド」は、欧米の考え方に固執せず、むしろ文化や生活習慣の違いを捉え、身体の使い方をレクチャーしながら進めてまいります。


 
 
 

Comments


フォロー

  • Facebook
  • Twitter
  • LinkedIn

©2022 by 健康運動指導士 山田和彦。Wix.com で作成されました。

bottom of page